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『劇場』又吉直樹についてなんだかなー

 

 

 うったらたまたまあたったからそれもまたよしとする

又吉直樹という作家は、ある意味呪われている。人気お笑い芸人になったこと大衆性を獲得した。しかしながら、その一方でアンチに悪口や初対面でも色眼鏡もって接されることも多いだろう。なおかつ彼が主戦場として選んだ純文学という場は閉鎖的であり限定された空間である。これまた「本なんて読まねぇよ」「書籍は売れない時代」との声に溢れ、読んでいるとしてもエンターテイメントやミステリーなど読みやすいものが好まれる。「芥川賞の作品読んでみたけどわけわかんねーよ」「糞つまんなかった」第芥川賞受賞作『火花』にもそんな声があがった。

 

劇場

劇場

 

 

 しかし、売れた。とにかく売れた。200万部!文芸誌異例の重版!推薦文にも又吉!文庫フェアにも又吉!本屋は、又吉直樹だらけであった。又吉直樹の狙いは芥川賞直木賞の中間であると考える。読みやすく面白く芸術性もあり文壇にも評論家にも書評家にもネット民にも認められインスタに上げられインフルエンサー 結果が全てだ。いや、内容も重要だ。読まずに書く誹謗中傷。読めずに掻くつまんなカッター。直キュン死。純文学ですか?はい、純文学です。お笑い芸人が。帯全部又吉ジャン。傑作です。ダサくね。平成なのに昭和感。いつ行くの今でしょw

『劇場』は売れない演劇バカが物分りのいい感じの優女とテンヤワンヤしながら出会い別れを繰り返し冷たい東京で生きるよくある話だ。しかも今回は、恋愛小説として売り出している。恋愛小説は難しい。フェチズムってか嗜好が別れ,欲だかエゴだか醜いある意味純粋な部分。ベタかシュールか。バランスが取りにくい。だいたい駄作で終わる。「人それぞれだからね~」の大立ち回りで、「文学的に素晴らしい」とか「描写が」とかでも補填する。前作『火花』で「よくわかんなかったー」読者のために恋愛小説色を強くしたそうだがそのまま素直に受け取っていいのだろうか。

主人公への不快感。ヒロインの非現実的物分りの良さ。どの時代の話?通信手段断絶。Wifi飛んでる? 

しかし全て「物語は劇場なのだ」でめでたしめでたし。

いや恐ろしい。これは読者を篩いにかけている。というか実験でもしているのか、社会調査? 

メディアに登場し「もしよければ読んでみてください。僕より面白い作家さんは五万といるので…」と謙遜しながらニタリとしている。怖すぎる。もはや、感想を気軽につぶやくことも憚られる。避けていても聞こえてきてしまうネットの軽い言葉たち。駄作。いや傑作。文学的に文体がなんだか普通。まじめというかね。何時代?東京百景や第二図書のがいい。

戦う 時代と批評と運命と 幸運であり不運である作家

これはある種芥川賞受賞後のゴタゴタを払うための作品なのではないか。羽田圭介も『成功者K』で虚構と現実に迷い込みメディアとの距離のとり方を示した。決して、今作『劇場』は100年後に残る傑作ではないだろう。 

しかし、出版業界やエンタメ、純文学への挑発と現在地の観測に挑戦しもがき苦しんだ又吉直樹『劇場』は私にとって大切な100年後に紹介したい好作である。何より次作が楽しみだ。僕らがバカにする天才綾部と出版不況をごまかしもたれかかられ矢面に立たされる努力家又吉。何もしない我々は、彼らの良き観客であり続ける顔のない代替可能な影として。

後始末

なにかうまく書けませんが届いてほしい。

 

火花 (文春文庫)

火花 (文春文庫)

 

 

 

東京百景 (ヨシモトブックス)

東京百景 (ヨシモトブックス)

 

 

 

第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫)

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芸人と俳人

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